白と黒の神話
 まるでわけのわからないミスティリーナは、そう言うしかできない。彼女のどこかオロオロしたような声に、セシリアも自分が一人でいるのではないと思い出したようだった。


「ご、ごめん。あんまり、腹が立ったから……」

「あんたの顔みたら、それはわかる。でも、できたらあたしにもわかるようにしてくれない?」


 ミスティリーナのその言葉にセシリアはうなずいている。


「わかったわ。歩きながらでいいでしょう」


 そう言うと、セシリアは階段を上がりながら話し始めていた。


「リーナがこの国の生まれじゃないことを忘れていたのよ」


 どこか疲れたような声でそう言っているセシリア。その声をきいたミスティリーナは彼女の言いたいことが、なんとなくわかるような思いになっていた。


「あんたの言いたいことって、わかる気がする。セシリアがさっき言ったバカ王子って、お姫様の兄さんか弟でしょう」
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