白と黒の神話
 カルロスの行動にビックリしたようなウィアの声。だが彼はそれに返事もせず、自分が気になったものを確かめようとしていた。


「セシリア、ちょっと来い」

「どうかなさいましたか」


 エラそうな態度で自分を呼び付けるカルロスの行動にセシリアはムッとしている。しかし、彼の口調の真摯な様子に気がついたのだろう。彼女はカルロスのそばに近寄っている。


「カルロス様……」


 彼がみつけたものを見たセシリアは声を出すことができなくなっていた。なぜならそれは、アルディスの耳飾りに間違いないのだ。つまり、カルロスが持っていたものとの対になるもの。ということは、ここにアルディスがいたのだろう、という思いでセシリアはあたりを慌ただしげにながめている。


「これがあったってことは、アルディスがここにいたのは間違いないな」


 カルロスがポツリと呟く声。聞き取れないような小さな声だったが、ミスティリーナは聞き逃すことなく反論している。
< 91 / 314 >

この作品をシェア

pagetop