モラルハザード

「右田さん、この女の方はどうします?」

「そうだな、まだまだ、使えそうなタマだから、シャブ漬けにして、闇の風俗でも売り飛ばすか」

いいっすね、と笑う声が聞こえたと同時に、何か薬のようなものを嗅がされ

次第に意識が遠のいていった。


薄れる意識の中で、楽しそうなプリスクールのママ友たちの顔が浮かんだ。

真琴や杏子、そして、みんな…

私はただあの人たちと同じように

何不自由なく、楽しみながら暮らしたかっただけなのに──

なぜ?──

なぜなの?──


手をのばし向日葵を探ったが、その手は届くことなく

そのまま私は意識を失った。

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