貴方が好きでした。
『奥村 俊介って言ってな、
うちの幼なじみやねん!』

『そうなんだ。』

『2年になってから、
髪染めてピアスして、
眼鏡からコンタクトにして
雰囲気かっこよくなったから
結構、人気出てきてんなー。』



少し前を思い出すように、
言葉をつなげていく友達に
耳を傾けていると、どんどん
情報が入ってきた。


バレないように奥村くんの方を
もう一度見るとその瞳はやっぱり
どことなく寂しそうで、孤独感が
漂っているように見えた。



今すぐ駆け寄って貴方は一人じゃない、あたしが傍にいるよと言いたかった。
何故、こんなことを思うんだろう。
何故、そんな風に見えるんだろう。
目に見える貴方は、友達に囲まれて
楽しそうに話しているのに。




休み時間の終わりを告げるチャイムが
教室内に響き渡った。
それと同時に各々の場所へと戻る。
あたしも自分の席に戻り、だらだらと
戻っていく奥村くんを見た。


その背中はどこか哀愁があって、
寂しそうで悲しそうで。
何でなんだろう、他の人を見ても
そんなこと思わないのに。



自分の中にあるこの感情を
うまく説明することができない。



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