オレ様になりたくて…。



「お前を助けたかったんだ」


まだ少し残る酒の勢い借りて、カッコつけて言ってみる


「はあ?また腹に拳、御見舞いされてぇのかよ」


思わず腹を庇うけれど怯まずに続けて言う


「お前が辛そうな顔であいつの事見るから……なんつーか…、だから悪の黒タイツからお前を助けてやろうと思ったんだよ」


ポン酒が残ってて上手く言えねぇな

暫くの沈黙の後


「何が黒タイツだよ……悪はアタシだろ…」


ってちっさな声で難波薫子が言った

それっきり、何も言えなかったオレ

それ以上、何も言わなかった難波薫子

少しして酔いがマシになったオレは大人しく帰る事にした




柊さん、強引なくらいがいいって言ってたけど

やっぱ無理っすよ

惚れた女にあんな顔されちゃ、手も足も出せねぇよ



オレ様かぁ…

三輪ってやつは、やっぱりオレ様なのかなぁ

オレは若干ふらつきながらも、通りに出てタクシーをつかまえると、漸く自分のマンションへと帰った

ろくに着替えもせずにベッドに潜り込む

オレの長い一日が、やっと終わった



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