蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~

4.癒される傷




肌に触れるシーツの感触が心地いい。

絢乃は雅人の口づけを受けながら、手足に触れるシーツの滑らかさを感じていた。

・・・絢乃の全身を包み込む、クールで爽やかなグリーンノートの香り。

いつからか、この香りに触れると心安らぐようになっていた。

昔はあんなに恐れていたのに、どうして・・・。

───人の心は、不思議だ。


「・・・ぁ、んぅ・・・っ」


ふいに唇の端を甘噛みされ、絢乃は声を上げた。

雅人は絢乃の下唇を啄み、くすりと笑う。


「何を考えてる?」

「・・・北條さ、・・・んぅっ」


雅人の唇が再び絢乃の唇を覆う。

───苗字を呼んだお仕置きだ、とでも言うかのように。

唇は次第に深くなり、舌と舌が絡まり合う。

舌の間で生まれる甘い蜜が、唇の端から零れ落ちる。

ぼうっとしたまま雅人の唇を受けていた絢乃だったが、雅人の指が鎖骨に触れたことに気付き、反射的に背筋を強張らせた。


< 103 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop