蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~

5.意外な展開




金曜の夜。

20:00。

絢乃は自席で大きく伸びをした。

仕事の切れが悪く、ついこの時間まで居残ってしまった。

絢乃ははぁと息をつき、机の上に置かれた缶コーヒーを一口飲んだ。


「・・・ちょっと休憩するかな~・・・」


夕方17:00頃に夕飯の誘いのメールが雅人からあったが、仕事が片付かなかったため、絢乃は断りのメールを入れた。

今日会えなくても、明日会えるし。

と思い、今日の夕飯は断ったのだが・・・。


───この会社にいると、自分と雅人の立場の違いが身に染みてわかる。

雅人が生きてきた世界は、絢乃の想像以上に大きく、広い。

グランツにいた頃は何の躊躇いもなく雅人に相談しに行ったりしていたが、今はそもそも雅人がいる部屋に入ることすらできない。

プライベートではこれ以上ないほど近くなったのに、会社では天と地ほどに遠い。

雅人との距離感が変わったことに、絢乃は少し戸惑っていた。


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