蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~



「それにしても。・・・今更ですけど、本当にいいんですの、絢乃さん? 一生の伴侶がこんなに悪辣かつ低俗かつ性悪な男で?」

「・・・おい、ろくでもねぇこと言うんじゃねぇよ。お前、本当にオレの妹か?」


とぼやくように言った卓海の斜め向かいで、慧もくすりと笑う。


「心配しないで、アヤ。もし離婚てことになったら、おれが弁護士としてアヤの弁護をしてあげるから。がっつり慰謝料ふんだくってやるからね?」

「・・・一体何なんだよ、お前ら」


卓海は呆れたように言う。

絢乃もハハと乾いた笑いを浮かべていたが、そんな絢乃を千尋がじーっと見つめる。

・・・卓海によく似た、茶色がかった瞳。

この子が義妹になるんだな、と今更ながら思った絢乃の視線の先で、千尋が口を開く。


「けれど、今となって思えば・・・。絢乃さんとこの愚兄が出会ったのは、運命の神様の苦肉の策だったのかもしれませんわね」

「・・・え、どういうこと?」


と驚いた絢乃に。

千尋はまじめくさった顔で言う。


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