蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~



今日、あえて定番のデートコースを選んだのは、絢乃を楽しませたいと思ったからだ。

道具ではあるが、たまには手を掛けてメンテすることも必要だ。

絢乃が自分との時間を楽しいと思うようになれば、一か月という期間が過ぎても、自分の誘いを受けるようになるだろう。

自分の道具であることを、絢乃が自ら望むようになればいい・・・。

その方が遊ぶ方としてもいろいろと楽になる。

・・・建前上はそう思っていたが、実際は単純に絢乃の喜ぶ顔を見たかっただけなのかもしれない。

絢乃が慧に見せているような笑顔を、自分にも見せて欲しい。

───ただ、それだけだったのかもしれない。


けれど・・・。

最後の最後で、予想だにしない最悪な展開になってしまった。


髪留めが慧からの贈り物だと知った瞬間、卓海の心に押さえきれない嫉妬が湧き上がった。

そして、嫉妬に突き動かされるように絢乃の唇を奪っていた。

衝動は止まらず、自分でも無意識のうちに絢乃の服に手を掛けていた。

・・・これまでどんな女にも、あんな衝動を感じたことはない。


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