【砂漠の星に見る夢】

――ここでどれだけ長居していいのか分からないけれど、このおじいさんは現地ガイドらしいし大丈夫に違いない。


それに父や母が来たら一緒に話を聞くのもいいだろう。


エジプト好きの父なんかは目を輝かせて食い入るように話を聞きそうだ。


そう思い、老人を真っ直ぐに見て強く頷いた。


「それではお話し致しましょう。
そうそう、お話しする前にあなた方はエジプト人の長い名前に馴染めないようなので、名を略してお話させていただきますね」


老人はそう言って、王の間の床にあぐらをかいて座り、私と雄太も老人の向かい側にしゃがみこんだ。






こうして、私たちは、この老人から生涯忘れることのできない、美しくも悲しいエジプト王室の物語を聴くこととなったのだった。

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