Special

これきり



近くの自宅に着いたのはそれから約10分後。

私は部屋に上がるなりテーブルに3枚の名刺を並べた。


レンと堂本さんとマサキ…


出逢うことのなかった人達と出逢ってると感じた。


――マサキに…連絡をしなければ。


レンがホストっていうのは正直私にとって良く思うことではない。
けど、マサキが言ったようにレンの今の立場がなくなってしまうのは嫌だ。

何より、私なんかの存在だけで失脚させたくはない。

きっと長くホスト続けてて、№1でいると言うことはレン自身も少なからず誇りとか何かあるんだと思うし、努力だってしてきたハズ。

それをあんな人に奪われるのなんて、私が嫌だ。


“ホストのレン”に複雑な想いを馳せているにも関わらず、ホストという仕事を取り上げたくはないという自分の中の矛盾。


だけどそれは“レン”という男の人を受け入れたいからそんな矛盾が生まれる。

“レン”の心に近づけるなら、“ホストのレン”の心にも近づいて行かなければならない、と勝手にそう思っているから。


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