『大切なもの…。』
二人で…。
『二人で話がしたいな』


こんな彼の一言で私は既に誓いを忘れかけていた。
彼の現実を忘れかけていた。


しかし、今までの私の癖で彼の『二人で話がしたいな』という
言葉をかき消そうとした。


いけない
いけない
いけない


『また、急にどうしたんですか…』


ごまかした。
また自分の『心』にウソをつこうとした。

本当は私も会いたい。
二人で会いたい。

そう思う『心』にウソをつこうとした。
だって、彼の現実を考えるとそれが一番、優等生の答え。

いくら『恋』を無理やりあきらめないと決めたとはいえ、
相手のことを考えなきゃ。

せっかく好きになれた相手だからこそ、大切にしなきゃ。

でも、彼はおれなかった。

『今度の土曜日の夜に少し時間がとれるんだけど』
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