声がする方へ

出会い

《...様、お琴様。》

寒い、寒い、寒過ぎる。
あれだけ、朝は火鉢を近くにと言ったのに。 今日も近くに温もりを感じない。

その事に少しの苛立ちを感じながら、
小さな体が布団の中でゴソゴソと動き出す。

《お琴様。本日はー》


布団の中でゴソゴソと動いていた、
小さな体はその後、
軽い寝息と共に、上下に動き出す。


《仏の顔は三度まで、しかし、お蝶は二度寝はお許し出来かねます》


其の瞬間に来る、寒さに構える様に
小さな体は更に丸く、小さく縮まった。

「何さ。お蝶が火鉢を近くにやってくれないから」

《お菊様、火鉢を不用心にお近くに持っていき、火傷などされたら私の命がありません。ただでさえ、嫁入り前の大事なお体。傷などついたらー》

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