Fine Like This
だから僕は


いかにも女の子が好みそうな物に


興味があっても


絶対にそのことを


他人に言ったりしなかった




そんなことがもし他の男子にバレたら


僕の居場所は一瞬で無くなる




そうなったら


ただでさえ陰鬱なこの世界が


より暗く救いがたい世界に


変貌することは


目に見えていた




つまり小さい頃から


僕の人生は軽く八方塞がりで


今後僕にとってのこの世界が


素晴らしい物に変貌する可能性は


殆ど無いであろうということが


僕にはわかっていた




そして


こんな世界に


存在し続けるくらいなら


いっそ消え去ってしまった方が


気楽だろうなんてことを


物心つく頃からずっと考えていた




僕の心象世界には


常にグレーのフィルターがかかっていて


ちょうど陰鬱な曇り空みたいな世界が


僕にとってのデフォルトだった


そんな日々が何年も続いた


グレーがかった世界が


当たり前になって


何も感じなく


なる程に


何年も


何年も


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