私の忘れ物

忘れ物

「よぉ!旭!!」

聞き慣れた声が聞こえる

(……宏汰!!)

後ろを振り返れば笑顔の君がある

なんだか不思議な気持ちになる


「宏汰ッ!!いいところに♪悪いんだけどさぁ教科書貸してくれない?」


「お前なぁーーー…ちゃんと持ってこいよぉー」

そう言いながら宏汰はかばんの中から教科書を出した

(…優しいんじゃん)


「数学6限にあるからそれまでに返してな」

ニコッと微笑んで私に教科書を差し出す

「…ん…ありがと…」


宏汰は優しくて面倒見がいい

素直で優しくて…

みんなが嫌がることを嫌な顔せずせっせとする性格。

(本当いい性格してるなぁ)

中2の夏休みに入る前に宏汰は私達の前に現れた

宏汰を見た時に

私は初めて会った気がしなかった

前どこかで関わった訳でもないし

でも宏汰から懐かしさと切なさが伝わる

宏汰は親の離婚でこっちに来たらしい

つらい思いをしたはずなのに


君は悲しい顔をせずいつも笑っていた
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