紫陽花

春の音




苦しくて、苦しくて。

狂おしいほどまでに、無気力が僕を支配する。

僕のすべてを引き換えにしても
彼だけは守りたいと願い、
想ってきたのに。

手に、入れたのに。

「どうして?」

黒に縁取られた額の中で、
彼は音もなく静かに笑っていた。


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