醜女と呼ばれた姫
男に手籠めにされるわけにはいかない、というような態度の女房は私の前に立ち塞がり、守ってくれる。
頼もしい、と思う。私自身もそう簡単に男のものになる気などはない。
少し歩いたところ、男が止まった。「私にあてられた部屋だ」と。
「私はこれから歌会に出る。気分がよくなるまで使うといい」
「ですが」
「ここは私にあてられた部屋だし、私は不在になる。戻るころには他の歌会も終わっているだろう」
「ありがとう、ございます」