ペット化宣言

「何にやけてるんだ。変な妄想でもしたのか?」



エルちゃんと別れた後、そのまま船長さんのテントへ向かう。
一声かけると、気だるそうな顔で船長さんが出てきた。




「なんだよこんな夜中に。なんだ、一緒に寝たいのか?」

「違います!!」



にやにやする船長さんにやっぱり朝にすれば良かったと後悔する。
でも、テントの明かりついてたし、何より早く伝えるべきだと思ったから。



私は意を決すると、お城で見たあの本について船長さんに話しだした。


呪いという、あの血で書かれた部分は話すのに憚られて言えなかったけど、その他は覚えている限り、本の通りに話した…と思う。


いきなり読み聞かせ始めた私に、なんだこいつって顔をされたけど、ストーリーを聞いて真剣になった船長さん。


私が話し終えると、肩をぐっと掴んできた。



「どうしてすぐに言わなかったんだ!?」

「っ!」


怖い顔で必死そうに私の肩を揺らす船長さん。
私だってすぐに言おうと思った!でも、だって少女と会ってからの船長さんに言わないとって思ったんだもん。

怯える私に気付いた船長さんははっと肩から手を離す。
お互いしばらく無言の後、私はさらに付け足した。




「私が読んだのはここまでだったけど、最後の1ページが破られていたのでまだ続きがあると思います。」

「そうか……。よく見つけてくれた。ありがとう。」


くしゃくしゃに頭を撫でられる。
い、今船長さん、ありがとうって言った?

髪の毛をぐちゃぐちゃにされて視界が狭くなっている中、見えたのは赤くなった船長さんの耳。顔はいつもも変わらないけど、その耳は明らかに照れていることを表していた。






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