逢いたくて
「ねぇ、渉」

「ん?」

「わがまま、いい?」

私の突然の宣言に一瞬驚いた渉はすぐにっこり笑い

「なに?」

と頭を撫でた

「自分で、うみたい」

「…咲」

これだけの言葉でどういう意味か渉はわかったらしい

すこし険しい顔になった

「今、話しをするのも苦しいだろ?帝王切開だって呼吸のコントロールが難しくて…正直この病院では…」

渉は言葉を濁してるけど相当私と赤ちゃんは危ないんだとおもう

「でも、自分の、タイミングで、生まれたいって…」

そこで息が続かなくなったけど渉はちゃんとわかってくれた

「赤ちゃんはもちろん自分のタイミングがいいかも知れない。でも、命を守るためには無理だ。俺は咲も赤ちゃんも守りたいから…」

渉の気持ちも思いも痛いくらいにわかる…

「でも…」
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