逢いたくて
「傷つけるなよ。自分のこと」

「……ヒック…」

「自分を痛め付けるな。咲はそんなに悪くないだろ」

「悪いの!」

渉の言葉にヒステリックな声をあげてしまったことを後悔する

「悪い…」

「咲…?」

「自分のために…赤ちゃんを殺した…死なせたの!」

……

「嫌われたくないとか…言えないからって理由で赤ちゃんを殺したの!」

「…咲…」

「全部自分の勝手なのっ!自分の幸せのために…命を奪った!なのに…罰があたったの…。私は幸せになったらいけないの!幸せになる資格なんてないの」

渉が私のことを抱きしめようと近づく

「来ないで!」

「咲、落ちつ」『ガンッ』

渉から逃げようとして椅子から落ちそうになった私の腕をしっかりと掴んだ渉

無人となった椅子だけが机にぶつかった

私はゆっくりと床に座る

渉も目線をあわせて座った
< 75 / 204 >

この作品をシェア

pagetop