逢いたくて
私は気づいたら逃げ出していた

走って…走って…走って…


とにかく現実から遠ざかりたかった

うそ…

うそでしょ…

譲…








「咲?」

その声に振り向くと渉がいた

白衣姿でカルテを手にしている

「どうした?」

迷わず私は渉の胸に飛び込んだ






覚悟しているはずだった

譲が死んでしまうかも知れないことを…

でも

全然覚悟なんてできていなかった


譲が死んじゃう

死んじゃう…
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