愛さない。愛せない。






「好きです!」


今日はこの学校の入学式だった。

入学式が終わって、
この何だか凄い可愛い人に呼び出された。



「誰?」


背は私より小さい。
茶色の髪の毛をふわふわ風に乗せながら、目を丸くしてる。



「え?」

聞こえていなかったのか、
馬鹿にしてるのか。


「…アンタ、誰?」



「あ、僕ッスか?栗山 那智-クリヤマ ナチ-って言います!ずっと、レイさんが好きでした!」

名前も可愛らしく、
犬に見える。



尻尾がはえてる!



「……あぁ、そう。だから?」


「え?」


え?って何よ、さっきから。
好きです。だから?でしょ?



何とも思わない。
っていうか、逆に男と喋りたくない。

可愛いから、まだ大丈夫だけど。



「僕と付き合って欲しいんです!」



「男に興味ない」



「え?…レ」



「だからといって、女にも興味ない。」


良からぬ妄想をしだした可愛い男の子に冷たい目を向け、妄想をとめた。



「何だぁ、びっくりしましたよ~」



「もう用はないでしょう?さようなら」


ホッとした顔の男の子に
手を二、三回振って歩き出した。


「あ、あの!」






「絶対におとしてみせますから!」



こう言われるのは初めてだった。
おちるわけ無いのに。



「頑張って、おとしてみて」



おとせるなら、今直ぐに。



「上等です」





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