さよならまた逢う日まで
「やり直した人生 ちゃんと締めくくれよ」



ガブリエルが言った言葉が心の中で繰り返された。



俺は何をしにこの世に戻ってきたんだろう…。



何を後悔したんだろう…。



桜井とガブリエルの言葉を思い出した。





伝えきれなかった事を伝えたい。


朝の支度にせわしなく動く母ちゃんの背中を見つめた。


「あら?!啓太。起こしても起きないあんたがどうしたの?」


不意に振り向き母ちゃんが言った。


「え?!


後悔したくないから…心入れ替えた。」


「後悔?大げさねぇ~。 朝ごはん食べる?」


母ちゃんは味噌汁に刻んだねぎを入れながら振り返った。


「あっ…うん。」


食卓に向かい合い朝飯を食べたのなんて、いつぶりなんだろう。

母ちゃんは何も話さず俺が切り出してくるのを待っているかのようだった。


「最近…どうよ?」


味噌汁をすすりながら上目づかいで母ちゃんに切り出した。


「何が?母さんは毎日一緒よ。何にも変わらない。

そうね…ちょっと最近年を感じるかな~。


啓太は最近どうよ?」


切り返され俺はむせ返った。


「俺?!俺かぁ…


そうだな…最近またサッカーやろうかなって。」


意外な返事に母ちゃんは箸を置いて俺の話を聞く体制になった。

「いっちょまえに俺にもプライドってものがあって、

それが邪魔してたんだろうな…。」


私立に入れてあげらず、申しわけない思いを母ちゃんが抱いていることも知っていた。


「もう一回ボール蹴って全力で走ってみっかなって。」

「ごめん啓太。」


母ちゃんはテーブルにくっつくくらい頭を下げた。


「母ちゃんが悪いんじゃねぇよ。どこだってやろうと思えばできたんだよ。調子乗ってたんだよな俺。」


母ちゃんは顔を上げまっすぐ俺を見た。


「ごちそうさま…いつも弁当ありがとう。行ってきます。」


弁当を受け取り俺は立ち上がった。


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