さよならまた逢う日まで
エピローグ
花火大会の後夏休みもあと数日というある日、布団の上で眠るように俺は息を引き取った。


原因不明で死因はわからないまま。


突然の死に憔悴した母ちゃんだったけど、黒ケンに俺の訃報を告げられた親父は、すぐに駆けつけ葬儀の何から何まで取り仕切り母ちゃんを支えてくれた。



葬儀の後俺が親父を探していたこと、渡された手紙のことを母ちゃんに親父は話したらしい。




葬儀には黒ケンも来てくれた。





俺の遺影の前で何度も「ありがとう草野くん」と繰り返した。





桜井は手を合わせ「2回目は眠るように逝けて良かったな」と泣き笑いした。



堺はやっぱり気丈で俺の好きな堺だった。



頬に流れる涙を拭かず、ジッと俺の遺影を見つめこう言った。



「草野くん私もずっと好きだった。もっと一緒にいたかったよ。」



葬儀場を出て泣き崩れる堺を支えたのは桜井だった。



きっとあいつなら堺をまた笑わせてくれる。




だから大丈夫。




俺が消えても流れ続ける日常。


傷はいつか癒えていく。


そしてらまたいつもの日常になる。




俺は生きた。ちゃんと生きた。


だから大丈夫。








「失礼しま~す。」


無機質なドアを開けるとそこにあいつが座ってた。



「よう。満足いくまで生き抜いたか?」



書類をめくりながら不敵な笑みを浮かべあいつは言った。









人生は誰かに評価されるものではない、自分がどう生きたかだ。




今ならそう言える。



さよなら俺の美しき人生。


さよならまた逢う日まで。


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