【タイトル未定】


「で、池内くんはどうしてこの町に来たの?」

目の前の鉄板の上でせっせともんじゃの用意おばちゃん越しに尋ねる。


「お前にはデリカシーってもんがないのかよ」


「お前じゃない。あたしはユイっていう名前があるから。女子をお前呼びだなんて、池内くんのがデリカシーないから」


相変わらず冷たい口調で物を言う彼を、ピシッと制する。


「誰が呼ぶかよ……」

そう言った池内くんがなんとなく、ぼんやりと空を見つめたような気がしたけど、それは勘違いだったかもしれない。


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