キミといた。
プロローグ



声がする。


声が聞こえる。




それはいつか私に響いた声だった気がする。




もう思い出せないくらい遠くて、声すらも曖昧であやふやな記憶。



思い出せないことに歯がゆくなるが、間に合わない。



頭の片隅に放置された欠片が疼く。



大丈夫、思い出せる。


そっと自分にそう言い聞かせる。



まだ色あせてない。


まだ腐り枯れてない。



思い出せる。



だってあれは、あたしの大切なものだから。


< 1 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop