ピアス
 クリフは考える。柚菜も家族を失い、孤独なのだ。人は、一人では生きていけない。いや、日々を過ごす分には一人でも事足りるだろう。だが、己の存在をより強め、必要としてくれる人が身近にいないと、人は孤独という〝死〟が待っているのかもしれない。


「まあ、しかたないっすねよね。柚菜さんが入れば、女っ気のないわったっしらに癒しを与えてくれます。じゃあ、クリフ隊長、いつ出発するんです」

「お前の傷が癒える頃合いを見計らい、一週間後だ」

「ワクワクしますねえ」
 ピエールは言う。

「料理のレパートリー増やさなきゃ」
 柚菜もなぜかワクワクしているようだ。
< 206 / 207 >

この作品をシェア

pagetop