『スケッチブックにサヨナラ』〜短編〜
逢いたい
それから2ヶ月が経ったある日。いつもの様に携帯が鳴った。案の定、戸上からのメールだった。

戸上(メール):『電話しろ』
戸上から来るメールは命令形で、電話をして来る事は殆どなく、こんなメールばっかりが届いた。
佐倉:『もしもし?何?』
戸上:『よぉ!やっぱり暇してたか(笑)』
佐倉:『別にそんなんじゃないけど』
戸上:『まぁまぁ(笑)あのさ、今度の土曜は何してる?』
佐倉:『土曜?…バンドの練習は無いし、何もないけど?』
戸上:『マジ?!お前ってホント暇だなぁ(笑)』
佐倉:『そんな事言う為に電話させたの?…最悪…』
戸上:『そうじゃなくて…』

いつになく 言葉を詰まらせている姿に、『もしかして…』という勘が働いた。すると、しばらくの沈黙の末
戸上:『あのさ、俺もバイトが休みだから…よかったら遊びに来ないか?』
と言った。
佐倉:『やっぱり…』
戸上:『な、なんだよ…』
佐倉:『最近、大ちゃんが「逢って話せたら」とか やたら言ってたから…』
戸上:『そぉか?(笑)』
佐倉:『…なんかなぁ…』
戸上:『何だよ、嫌か?』
佐倉:『別に嫌じゃないけど…遠いしなぁ…』

内心は行きたかった。
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