仮面
「うるせーよ。いいから答えろ」



「・・そうですねぇ。殺されたのかもしれないし、そうでないかもしれない」




 わざと話をうやむやにしようとしているのか、坂井教授はそう言って苦しそうな笑みを浮かべた。



 それでも黒沢は表情一つ変えずに


「所詮計画の一つだったんだろ?まぁいいや。バーサーカーのデータはもうあいつに渡ったのか?」


 と違う質問に切り替えた。



・・バーサーカー?なんだ、それ?



 市川は黒沢の口から出た不可解な単語に表情を曇らせた。         



「・・懐かしいですねぇ。あのデータは・・・裁定者が保持しているはずです」



 そう言って静かな笑い声を上げる坂井教授を睨むように見下ろしながら、「さいていしゃ?」と不可思議そうに呟いた。
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