理想恋愛屋

恋愛屋戦隊☆参上

「ほーら、早くして!」

「ちょっと待てって……!」

 強引に腕を引っ張るのは、いつものごとく彼女。



 でも、なんで連れ出されてるんだっけ……?



 必死に思い出そうとしてもすぐ答えが浮かばず、結局されるがままだった。

そんなときだった。


「きゃぁぁあああ!」


 誰かの悲鳴。

 バッと振り向くと、そこには勢いよく転んだと思われる女性。

うつ伏せになっているので、屈んで体を揺らしてみる。


「大丈夫…ですか?」

 オレの声に反応して、その人は見上げてきた。

でもそれは見覚えのある顔。


「も、萌!?」

 叫んだと同時に、萌は抱きついてきた。

「えっ、ちょ、萌!お前には匠さんが……っ!」

 突然のことでオレがしどろもどろしていると、少し体を離して萌が見上げてくる。

かわいらしい顔立ちは今でも健在で、長いまつげが少しだけ濡れていた。


「た、助けてください……!」

 随分他人行儀に助けを求めてくる萌が、背後の何かに気づいたようにオレの後ろに回ってきた。

そこには……


「散々逃げ回ってくれたようだが、もうおしまいだ!」

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