ボクはボクでも、僕じゃない。



『・・・・』

歩道橋にはフラフラと揺れる、一人の女性が立っていて

今にもそこから落ちそうな勢いだった


『す、すみません、降ります!!
お釣りは良いので!!』

「えっ?ちょ・・・っ」


僕は走って歩道橋に向かった

ズキン・・ッ


頭が痛む


『はぁはぁ・・っ』

その痛みに汗が滲み、頭を押さえながら、僕は歩道橋の真ん中にいる女性の近くまで寄った


その人はじっと渋滞の車を見下ろして、唇を微かに動かした







「 貴斗 」






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