プカプカしてきます
まあ、それでも助けたい一心で頑張ってくれるのは嬉しいよ。でも生き返らせるのはチョット無理があるでしょ。

医者じゃなくても分かる。だって頭が変な方向を向いてるもの。ああなっては、まず助からないよ。今だって私のプカプカしてる意識は、そっちの体に戻れないし…。

救急車を呼んだのはいったい誰?適正利用に反してるんじゃない。

でも不思議だよね…。私が私の死を眺めるなんて。

横断歩道で死んでるのは間違いなく私。テカテカの制服。短く切りすぎた前髪。美人ではないけど笑顔が秘密兵器のルックス。

そして、彼氏からもらったセンスの悪い腕時計を左腕に付けてる。きっとアレ安もんだよな。プレゼントだから付けてはいたけどさ、友達に見られ、笑われるのは結構キツかったな…。

まあ、今となってはどうでもいいことなんだけどね。

でも、今こうしてプカプカ浮遊している私は誰なんだろう?考えても難しすぎて分からん。生前も頭がチョット残念な感はあったし。

おっ!あの見覚えがある顔は…。

「サトリン!どうしたんだ!」
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