蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




慧は縁側を抜け、隣の物置部屋に入った。

・・・神経が高ぶっており、まだ寝付けそうにない。

本でも読みながら眠気が訪れるのを待とう、と本棚に手を伸ばした慧だったが・・・。


「・・・これは・・・」


前回来たときに少し見た、母の日記が本の間に挟まっている。

慧はそれを手に取り、ぱらぱらとめくった。

・・・母とはいえ、日記を見るのは気が引ける。

しかし、なぜなのかはわからないが・・・この日記に、吸い寄せられるものを感じる。

慧は立ったまま、日記を読んでいった。

日記は慧が生まれる2年ほど前から始まっている。


慧は一ページ、また一ページとざっと流して読んでいった。

・・・その、途中で。

慧はとあるページで手を止め、目を見開いた。


『・・・またあの人が店に来た。建築家と言っていたけど、どういう人なのかしら』


母の昌美はどうやら、店で働いていたらしい。

どんな店なのかは書いていないが・・・。

日記はさらに続く。


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