雨降る中で
「よぉ」


何てマヌケな挨拶だろう



何も言わず通り過ぎようとする知恵の腕を掴み思わず抱きしめていた



もしかしたら知恵は賭けられている事を知っているのかもしれない…


そう思うと知恵を抱きしめる手が強くなっていった



俺の胸で肩を震わせ声を押し殺し泣く知恵を強く抱きしめる事しか出来ないでいた



ほのかに香る雨の匂い


懐かしい、知恵の匂いの中



この時、2年前心の奥で蓋をした自分の気持ちに気付いてしまった




俺はずっと知恵が好きなんだ…




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