【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
その日の夜。
久しぶりに、夏希と目をあわせた。
夏希が俺を呼び出して、俺は逆らえる訳
もなく、夏希に言われるまま、待ち合わ
せ場所まで来ていた。
闇の中に溶け込んだ彼女の笑みは、驚く
くらいやっぱり美しい。
だけど夏希の本性を知っていると、どこ
かそれが、怖くも思えて。
情けないけど、一刻も早くこの場から逃
げ出したいという衝動に駆られる。
「こんな時間に……。一体、なんの用や
ねん」
そう言いながら目を逸らした。
見てたら、吸い込まれそうだった。
その妖しく光る瞳に、囚われそうだった
。
夏希が、呆れたように笑う。
「無理に、方言じゃなくてもいいのに」
「無理も何も……これが本当の俺やから
。無理なんてしてへんよ。夏希の見とっ
た俺は……俺やあらへんから」