【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済




家に戻ってからも、二人とも一言も言葉を発さないから、痛いほどの沈黙がわたし達を包む。



私は悪くない。

むしろ、責めてもいいのに。私が光弥を怒る方が普通だと思うのに。



それが、出来ない。

刺すような沈黙と、光弥から出るピリピリした雰囲気が私の喉を萎縮させる。



なんでか、光弥に謝りそうにさえ、なってきた。



無言で、雰囲気も重たいというのに、目線を下ろせばそこに見えるのは、相変わらず繋がれた手。

いつの間にか、指と指が絡まって恋人繋ぎに変わっている。


暖かい光弥の手のひらに、馬鹿正直な私の心音は速さを増していく。



だめだ。

訊きたいこと、いっぱいあるのに。



心臓の音が邪魔でもうなんも言えない。







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