糸を張る[イラスト付]
「少し冷えたみたいだね。もう行くよ。幸運を祈っている」

「コラ、待て。待てったら。──お前はいったい誰だ? 何者なんだ?」

「さあ、ね。君がカッとなって道を誤ったら、現れるかも」

「はぐらかすところじゃ、ねぇだろ!」

「フフフ。君だったり、なんてね。ハハハ。じゃあね」

足取りは軽く、あっという間に、遠ざかって行く。
その姿は、まさに、尾を引いてゆく影のようだった。


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