不良だらけの危険なバイトッ☆

「どーせ、莉子がいたからだろうけど」


隼人がちょっと悔しそうに呟く。


「違うよ!!隼人や服部さん…ユキ君がいたからでしょ」


あたしよりも三人の存在はずっと大きかったはず。


仲間という言葉の意味が伝わってきたから。


「ま、どうだかは知らないけど悪いことじゃない」


「そうだね」


見つめた窓の外には藤堂君が走っていく後ろ姿が見える。


小さくなっていく姿。


だけどすごく生き生きしている。


「…これであいつも前に進めるだろ」


「うんっ」


答えるとあたしと隼人はどちらからとなく微笑み合った。


過去の苦しみから踏み出した大きな大きな一歩。


きっとこれから先、藤堂君には明るい未来が待っている。


彼の幸せを信じながらあたしはもう一度外の景色に目を向ける。


住宅街の向こうには雲ひとつない青空がどこまでも広がっていた。

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