不良だらけの危険なバイトッ☆

「……っ」


苦しそうな表情が見える。


そのままユキは隼人の前で立ち止まった。


壁に手をつきながら、息を荒ませる。


「よく俺の言うこと聞いたな」


「…っはぁ…別に」


隼人の挑発に、ユキは目を反らした。


どうして…ユキがここに?


横にいる隼人は企んだように、口角を上げている。


何も知らないのはあたしだけなのかもしれない。


二人に動揺するそぶりはない。


そのままの沈黙。


隼人は腕を組んで、フェンスに寄っかかった。


「さすがにつれねえな。……ま、莉子を奪われるその瞬間、ちゃんと見とけよ」


残酷な笑顔。


「……」


嫌な空気だけが流れている。


「だからせいぜい泣けばいい、最後のお別れの言葉とかな」


そう言ってユキの方に、背中を押された。


「え?……っきゃ!!!」


バランスを崩したあたしを、ユキが抱き留める。

< 414 / 527 >

この作品をシェア

pagetop