帰らない二人―彼の鍵―
KEY01


「佐々!」



顔を上げた時には既にジャラっと音を立てて宙を舞っている。


「ひゃ・・・っ」


綺麗な放物線を描いた先の私の手のひらにそれは収まった。

重みのある、黒いスマートキー。


「仕舞っといて」


当たり前のように私にそういうと彼は奥へと歩いて行ってしまう。


でも、毎日毎日。

その“当たり前”の横柄な感じがなんだか悔しくて今日こそはと振り向いて声を上げた。



「・・もうちょっと、丁寧に扱って下さいっ!!」





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