帰らない二人―彼の鍵―
KEY02

ずんずんと歩き進める足は、外には向かっていないみたい。

着いた先はこのビルのエレベーターの前だった。


そこでやっと北中さんが背中越しに言葉を発した。



「・・・横井となんか予定あった?」

「は、はぁ?!なっ・・・ないですよ、そんなの!」


急にトーンが下がった声でそんなこと、聞かれるなんて予想も出来なくて私はただ必死に否定した。


「へぇ・・・そう。なら、俺に付き合えよ」


今度はちらりと肩越しに視線を向けられてそう言われた。


き、北中さん・・・やっぱり酔ってる・・・?


そんなことを思いながら北中さんから目を離せないでいると、知らないうちにエレベーターが来ていたようでその手は掴まれたままエレベーターに引き込まれた。



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