焼け木杭に火はつくか?
「いいじゃないですか、焼け木杭に火ぃ点けちゃえば。メラメラメラって。焼け木杭に火がつくとこ見せてくださいよぉ」

笑い交じりのその言葉に、夏海はうるさいと噛みついた。
それでも、その声にはいつもの勢いはなかった。
良太郎の楽しそうな声は続く。

「でね、俺に自信持たせてくださいよぉ。俺だって、まだきっとやり直せるっていう自信、持たせてくださいよぉ」
「バカ。大体、あんたはまだ彼女と連絡は取れるんでしょ?」
「……はい。……望み、あると思います?」

縋るような目の良太郎を、顔を上げた夏海が鼻で笑う。

「毎日だって電話入れなさいよ。会いに行けるなら会いに行って。彼女が根負けするまで、頑張りなさいって。ケータイの番号もメールのアドレスも変えないで、あんたからの連絡待ち続けてるなら、怒ってるって言うより計ってるのよ、あんたの気持ちを。彼女が満足するまで、言い訳でも謝罪でも何でもいいから、あんたの気持ちが伝わる言葉を、彼女に聞かせ続けなさいよ」
「三島良太郎。頑張ります」

敬礼をするような動作を見せる良太郎の額を、夏海は叩いて、笑った。
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