紺碧の海 金色の砂漠

(5)白馬の王子がついた嘘

(5)白馬の王子がついた嘘



睨み合うふたりに、割って入ったのはレイであった。


『まず、ミスター・キャラハン、ソファに掛けなさい』

『いえ、私は」

『では……シーク・ヤイーシュとお呼びしましょうか? どちらにしても簡単に済む話ではなさそうだ。主君に仕える心構えは立派だが、精神力だけでは骨は繋がらない。座って体を休めなさい』


彼は落ち着いた声でヤイーシュに話しかけた。

ヤイーシュはプライドの高い男である。頭ごなしに命令されることは何より好まない。だが、レイのように理路整然と言われたら、従わざるを得ないだろう。
 
の定、憮然とした面持ちでヤイーシュはソファに座り込む。


『出発準備にはどれくらいの時間が必要か?』


ミシュアルの質問をレイはアズウォルドの言葉に訳す。すると、答えたのはレイの補佐官サトウであった。


「急ぎ機体のチェックをし、燃料を補給せねばなりません。出発だけでしたら二時間ほど頂ければ……ただ、よろしいでしょうか?」


サトウは見るからに真面目そうな五十代の日系男性だ。

彼はレイが頷くのを見て、ニコリともせず意見を口にした。


「陛下の命に従い、クアルン国内のアズウォルド大使館と連絡を取りました。しかし、ダリャ市内をはじめ、クアルン国内では何の問題も起こってはおりません。ニュースにも『暴動は未然に防がれた、ラシード王子とリドワーン王子のお手柄だ』とあります。反逆罪にも等しい重大犯罪が行われているとはとても……」
 

言葉を濁したサトウに噛み付いたのがヤイーシュである。


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