紺碧の海 金色の砂漠

(8)トラブルがいっぱい

(8)トラブルがいっぱい



海の方向から波の音がヴィラまで届く。

目を向けてもそこには漆黒の闇が広がるだけだ。

ヴィラの周囲には見る者の心を明るくさせる原色の花々が咲き乱れていたが、夜は濃度の違う黒にしか見えない。

微かに、甘い香りが舞の鼻腔をくすぐるだけだった。


舞はヴィラのすぐ外まで出てきていた。

出入り口にセンサーが付けられていたら? と懸念したが、何も起こらずホッとする。

舞が窮屈な思いをしないように、と内部の移動は色々配慮されているらしい。おかげで、南国の花に囲まれた通路を抜ければ、隣のヴィラまで一直線だ。


昨夜は我慢した。一夜明ければ向こうから挨拶に来るのでは、と思ったからだ。

しかし、待てど暮らせどヤイーシュは姿を見せず……。

舞は心配で「ヤイ……キャラハンの怪我って酷いの?」とクロエに尋ねたくらいだ。


だがクロエは、


「いえ、妃殿下のご心配には及びません。当リゾートには専属のドクターもおりますので」


そう言ってニッコリと笑った。


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