白の恋

木曜日


『…なんだか嬉しそうですね?』


会社の後輩にそう言われて
自分の顔が自然と弛んでいたことに驚いた。


思い当たる理由は1つしかなかった。


明日の夕方にはシロに会える。


それを自分がそんなに楽しみにしているとは…



『…そうかぁ?
まぁ、営業は笑顔第一だからなぁ。』


誤魔化すようにそう言うと、
後輩が胡散臭げにじっと見て、
わざとらしく溜め息をつく。


『はぁぁぁ。
先輩はプライベートも充実かぁ。

皆ウワサしてますよ?
先輩は最近金曜はいそいそと帰るから絶対デートだ、って。

営業成績も120%越えだって
部長がご満悦でしたよ?』


『…部長は大袈裟に言って
お前を煽ろうとしてるだけだよ。』


…確かにここ数ヵ月、
驚くほど調子がいい。


幸せな気持ちは幸福を呼ぶ、…か?


『…ほら、またぁ!

1週間で一番疲れの出る木曜なんかに
笑顔でいるなんて先輩くらいですよ…』


『…よし!じゃあ昼飯でもおごってやるか。』


さっきまでため息ばかりだった後輩が
その言葉にゲンキンに笑顔を見せるから
僕は苦笑いをした。
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