龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「悟、その箱も頂戴。テーブルをセットするから」

彩名さんが言った。


「この家、ホントお上品だよな。いい? こういうジャンクフードは、コーラをラッパ飲みしながら箱から手づかみで食べるものだよ」

悟くんはそう言いながらも、彩名さんにピザの箱を手渡した。


「レクチャーありがとう。和子ばあやにもそう言ってくれるかしら?」


「冗談! 僕もまだ生きていたいよ」


「悟くん、いつ来たの?」

わたしは髪を手櫛で直しながら聞いた。


「30分くらい前かな。あ、鞄はそこの下にあるから」


体を乗り出して床を確かめると、わたしの通学鞄が置いてあった。


「ありがとう」


「どういたしまして。机の中身は滝田が鞄に入れてくれたよ」


後で、美幸と亜由美に電話しなきゃ。

二人とも心配しているだろう。


「志鶴は起きた?」

圭吾さんがそう言いながら、部屋に入って来た。

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