龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
わたしは廊下の片隅にしゃがみ込んで、鞄のファスナーを開いた。

ペロが物珍しそうに鞄の中に鼻を突っ込む。


「ペロ、ダメよ。ちょっと待って。えーと、おすわり」


ペロはちょこんと座った。

シェルターでしつけられていたのか、ペロは『おすわり』と『待て』だけは最初からできた。


「えーっと、ね。ちょっと手伝ってね」


わたしは鞄から大学のパンフレットを取り出し、床に並べた。


「ペロはこの中でどれが一番好き?」


最初、パンフレットの匂いを嗅いだ後、ペロはお気に入りの一冊を見つけてじゃれついた。


「第一志望決まり――っと」


ペロがよだれだらけにする前に、パンフレットを取り上げる。


「次は? そこ?」

うーん、そうきたかぁ……

「じゃあ、ここ第二志望ね――でね?」


わたしは鞄の中から、現国と英語の教科書を取り出した。


「さあ、どっちがいいでしょう!」

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