龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「台所に立つといい顔されないのよ。火傷でもしたら、みんなが困るって言うの」


「お姫様にはお姫様の悩みがあるわけね」


わたしはため息をついた。


「圭吾さんが、もうちょっと柔軟になってくれればいいんだけど」


「柔軟過ぎるのも悩みの種よ」


「それ、長谷川くんのこと? 上手くいってるんでしょ?」


「うん……あのさ」

加奈ちゃんは一度俯いてから、意を決したように顔を上げた。

「圭吾さんとエッチしたことある?」


ゲホッ!

うぐっ!

コ……ココアが鼻に入った!


「あー、ゴメンね。変な事聞いて」

加奈ちゃんがティッシュを差し出す。

「もちろんした事あるよね」


ま……まあね


「わたし、ここのとこずっと、まあ……何て言うか、誘われてるわけよ。でも、踏ん切りがつかないの」

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