雨が見ていた~Painful love~



「あ…でも…」


こんな別れ方しといて何食わぬ顔っていうのも……




さすがに心苦しくて断ろうと、身を固くしていると




「馬鹿ね。こっちがいいって言ってるんだから、響弥くんは気にしなくていいのよ。
気にするならあの大量の料理を気にして頂戴!!」


「…へっ…??」


「あんなに残って手つかずなんて…作った側に失礼でしょう?それに、3人前を一人で食べたら確実に5キロは太るわ!!」



綾音は突然プリプリと怒り出す。




そんな綾音がかわいくてプッと吹き出すと


「わかった?わかったら残飯処理をお手伝いしてちょうだい。」


綾音はいたずらっぽく、そう微笑む。




「…ほんとにいいのか?」


確かめるようにそう尋ねると


「もちろん。
嫌なら私はイヤだと叫ぶわ。
そうして欲しいから、そう言ってるの。」


綾音はケロリとして、そう答える。





「ま、最後の晩餐だと思って付き合ってよ。」



――ほんと…イイヤツ…。



男らしくて
潔い
最高にかっこいいオンナの申し出に



「じゃぁ…邪魔させてもらうわ。」



俺は凄く迷ったけれど
ありがたくそれに答えることにした。




< 106 / 545 >

この作品をシェア

pagetop