雨が見ていた~Painful love~



こ、このあと時間!?



拓真くんの申し出に私の心臓がドクンドクンと早鐘を打つ。




ど、どうしよう
どうしよう~~!!




ヒィィィ~!と悲鳴を上げながら
心の中で必死に考えていると




「ほんと…15分でいいんだ。
ちょっと話せねぇかな。」





頭をポリポリ掻きながら
申し訳なさそうに拓真くんはつぶやく。





たった15分

されど15分





大好きだった

でも、サヨナラしてしまった拓真くんと二人っきりでいて、私は正気を保てるんだろうか……。




少しだけ
少しだけ不安は残る。



オトコの人と二人っきりって、少し怖い。






だけど……
彼ともう一度ちゃんと話してみたいと思うのも事実。





あんな別れ方をしてしまったこと、本当に心から悔やんでいたから。






今日は幸い、このまま直帰できるし
予定もクソも何もない。








――よし……

女は度胸よ、美織。







今日という日は二度とやってこない。
今日を逃したら、きっと私は後悔する。






そう思った私は


「…うん。大丈夫。
今日はこの後何の予定もないから。」


小さくコクンと頷いて、拓真くんにそうお返事をすると



「よかった。」




拓真くんはホッしたように
顔をほころばせて、喜んでくれた。




「じゃあ悪いんだけど、あと30分だけ待っててくれるか??この姿じゃ街を一緒に歩きたくねぇだろ?」




拓真くんは自分のジャージをキュッと掴んで、いたずらっぽくほほ笑む。





その申し出に


「うん。じゃぁロビーで待ってる。」


私はあの頃と同じように
素直にそう返事をした。



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